本年度では、現代人の直立二足歩行時の足部の運動と変形、足部の各関節まわりのモーメントと各足骨に加わる荷重状態を、歩行時の足の拡大画像中の各計測点の座標位置、さらに床反力計と圧力分布測定装置の測定データを足の筋骨格靱帯モデルにあてはめてることによって求めた。これは以下のような手順で行った。まずビデオ撮影された歩行時の足の拡大画像をコマ送り(1/60秒ごと)しながらパーソナルコンピューター内の画像処理ボードを介してディジタル化しメモリに記録し、この記録画像からマウス操作のカ-ソルを使用して足の各計測点の位置を求め数値化した。しかしデータ量が膨大なため、来年度の初頭までこの作業が続く予定である。この作業と並行して、床反力計の測定データから床反力合力の着力点軌跡と各瞬間におけるこのベクトルの三次元的な向きと大きさを求めた。これによって足関節まわりにおける足全体に関するモーメントが求められる。しかしこの合力からだけでは足の各部位に関する荷重状態を知ることができないので、さらに同時に使用した足底圧分布測定装置で測定した足底面における荷重分布状態をもとに、別途作成した足の筋骨格靱帯モデルをあてはめることによって各部位の骨における荷重状態の推定を行った。しかし現時点では、このモデルの精度があまり良くないため、荷重状態にかなりのバラツキがみられる。今後は、このモデルの改良も行っていくが、それには足骨の内部構造も含めた三次元的な形態を精密に測定する必要がある。このため、小型のX線CTスキャン装置による足骨の連続横断面撮影を行い、これを三次元的に再構成する方法を開発中である。また、この装置は骨密度も測定できるため、この測定データをどのようにモデルに反映させるかという点も検討中である。
|