研究課題/領域番号 |
08650009
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤原 康文 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10181421)
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研究分担者 |
田渕 雅夫 名古屋大学, 工学部, 講師 (90222124)
竹田 美和 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20111932)
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キーワード | ランタノイド化合物 / 原子層制御スーパーヘテロエピタキシャル / InP / ErP / X線CTR散乱法 / AFM / STM / STS |
研究概要 |
希土類元素はV族元素との間でrocksalt構造を有し、半金属的性質を示すランタノイド化合物を形成することが知られている。それらランタノイド化合物はIII-V族化合物半導体と比較的格子整合するため、本研究では、それら材料からなる積層構造を原子層レベルで精密作製する、原子層制御スーパーヘテロエピタキシャル技術を確立することを第一の目的とした。また、このような積層構造で発現する量子効果を確認するとともに、それを将来デバイスに応用する糸口を探ることを第二の目的とした。 本研究では、減圧OMVPE法によりInP基板上へのErP成長を行った。Er原料にはEr(MeCp)_3(trismethylcyclopentadienylerbium)を用いた。 得られた知見は以下のとおりである。 1)放射光を用いたX線CTR散乱測定により原子レベルでの構造解析を行ったところ、数原子層厚の、rocksalt構造を有するErPの形成が確認された。また、熱処理効果の検討より、ErのInPへの拡散係数として、1.2x10^<-18>cm^2/s(580℃)、2.1x10^<-18>cm^2/s(630℃)、3.1x10^<-18>cm^2/s(650℃)が得られた。 2)基板温度580℃で作製された試料に対するAFM観察の結果、ErP膜厚が0.8原子層相当の場合、直径20-30nm、高さ1nmの小さなErP島が確認された。一方、3原子層相当の場合、「板状」のErP島(直径:200-500nm)が観察された。 3)STM観察の結果、「板状」のErP島には[110]方向に沿った不整合転位の発生とボイドの形成が確認された。 4)STS測定より、ErP膜厚が6原子層より小さくなると量子効果によりバンドギャップが出現し、Er膜厚の減少とともに増大することが明らかになった。
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