研究課題/領域番号 |
08650009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤原 康文 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10181421)
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研究分担者 |
田渕 雅夫 名古屋大学, 工学部, 講師 (90222124)
竹田 美和 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20111932)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | ランタノイド化合物 / 原子層制御スーパーヘテロエピタキシャル / ErP / InP / X線CTR散乱法 / 原子間刀顕微鏡 / 走査トンネル顕微鏡 / 量子効果 |
研究概要 |
本研究では、InP基板上へのErP原子層制御スーパーヘテロエピタキシャル成長を取り上げた。成長に用いたガス供給シーケンスは、InP成長時にP雰囲気中でIn原料の供給を中断し、Er原料のみを供給する、原子層ド-ピング(δド-ピング)を基本とした。 得られた知見は以下のとおりである。 1)PBS測定より、試料中のEr濃度はEr原料供給時間に比例して増加することが明らかになった。また、その依存性より、1原子層相当分のErシート濃度はEr原料供給時間23分により達成されることが明らかになった。 2)4.2KにおけるPL測定の結果、Erを均一添加した試料とは異なるPLスペクトルが得られた。このことはEr原子周辺構造が両者で異なることを意味している。 放射光を用いたX線CTR散乱測定により原子レベルでの構造解析を行ったところ、添加されたErはrocksalt構造を有するErPを形成して存在し、その分布の半値幅は数原子層程度であった。ErPの形成は、やはり放射光を用いた蛍光EXAFS測定においても確認された。 4)X線CTR散乱測定を用いた熱処理効果の検討より、ErのInPへの拡散係数として、1.2×10^<-18>cm^2/s(580℃)、2.1×10^<-18>cm^2/s(630℃)、3.1×10^<-18>cm^2/s(650℃)が得られた。 5)基板温度580℃で作製された試料に対するAFM観察の結果、ErP膜厚が0.8原子層相当の場合、直径20-30nm、高さ1nmの小さなErP島の形成が確認された。一方、3原子層相当の場合、板状のErP島(直径:200-500nm)が観察された。 6)STM観察の結果、板状のErP島には[110]方向に沿った不整合転位の発生とボイドの形成が確認された。また、STS測定より、ErP膜厚が5原子層より薄くなると量子効果によりバンドギャップが出現し、Er膜厚の減少とともに増大することが明らかになった。
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