研究概要 |
一軸磁気異方性を持つhcp構造のコバルト超微粒子を内包するカーボンナノカプセルの合成を目指して,異種金属元素(Pd,Os,Ru,Pt)を添加したCo合金超微粒子を生成し,ナノカプセルに閉じ込められたこれら合金超微粒子の結晶構造と磁気特性を調べた。ナノカプセルの合成には,直流アーク放電蒸発法を用いた。 1.Co-Pd合金 飽和磁化M_SはPd濃度の増加とともに緩やかに減少し、Pd濃度が5at&の時,約140emu/gであった。粒径はHeガス圧力よりもPd濃度に強く依存し、50at%-Pdの時最小で,その値は約4nmであった。保磁力H_Cは,粒径が小さく,かつM_Sが大きい時,大きな値をとり,最大値は550Oeであった。 2.Co-Os合金 M_SはOs濃度の増加とともに急激に減少し,Os濃度が5at%の時,約70emu/gであった。粒径はOs濃度に強く依存し,Os濃度が高いほど小さくなり,最小値は約8nmであった。H_Cは最大値が400Oeであった。 3.Co-Ru合金 M_SはRu濃度の増加とともに急激に減少し,Ru濃度が5at%の時で,約70emu/gであった。粒径はRu濃度とともに小さくなり,最小値は約6nmであった。H_Cの最大値は450Oeであった。 4.Co-Pt合金 M_SはPt濃度の増加とともに減少し,Pt濃度が5at%の時で,約100emu/gであった。粒径はPt濃度に依存し,Pt濃度が高くなる程減少し,最小値は約4nmであった。H_Cの最大値は450Oeであった。 OsとRuはバルクにおいてhcp構造をもち,さらにCoとの合金においてもhcp構造の相が存在するので,Co-OsあるいはCo-Ru合金内包ナノカプセルにおいてもhcp相が形成されると期待されたが,今回の実験ではすべてfcc構造であった。
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