研究課題/領域番号 |
08650015
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
安東 孝止 鳥取大学, 工学部, 教授 (60263480)
|
研究分担者 |
市野 邦男 鳥取大学, 工学部, 助手 (90263483)
松浦 興一 鳥取大学, 工学部, 助教授 (70029122)
|
キーワード | ワイドバンドギャップ半導体 / ZnSe系化合物半導体 / MBE成長 / 青-紫外光半導体光検出器 / 光起電力型検出器 / PIN光検出器 / ヘテロ構造PIN検出器 / 伝導型制御 |
研究概要 |
平成9年度は本研究計画で開発目標とする光検出素子のキ-の部分となる高抵抗I型光電変換層と、超格子オーミック電極層の作製技術を中心に研究を進めた。また、これらの要素技術をベースに、ZnSe-ZnSSeヘテロ構造のPiN型光検出ダイオードを試作し、以下に記述する良好な素志特性を確認した: 1.MBE成長基礎技術 *高品質高抵抗I型光電変換層の高品質化: 分子線エピタキシ(MBE)成長技術により、素子の基本構造となるI型光電変換層(無添加ZnSe結晶層)のミクロ欠陥(準位)濃度を1×1013cm-3以下に低減し1×106V/cm以上の高電界条件でマイクロプラズマが発生しない実用光電変換層の作製条件を確立。 *超格子オーミック電極(ZnSe-ZnTe多重量子井戸構造:SLS電極):光電流を効率的に取り出すためにSLS電極の形成が必要であるが、有限要素法による理論シミュレーションをもとに、ほぼ完全なオーミック特性を有する電極形成条件を確立(接触比抵抗<1オーム(cm2). 2.ヘテロ構造PiN型光検出ダイオードの構造設計及び製作 光収集効率の理論解析(シミュレーション)で決定したヘテロ構造PiN-Diode構造(SLS電極(上部)/pZnS_xSe_<1-x>/iZnSe/nZnSe//nGaAs基板:x=0-0.2)を作製し以下に示す素子特性を確認した:[光波長帯:470nm-400nm]: 開放端光電圧Voc=1.6-1.8V(Siの約3倍)、量子効率(ζ=30-40%:Siの1.1倍),暗電流(バイアス=20V条件)<1nA/mm^2(Si素子と同等). {*暗電流に関してはZnSeのバンドギャップエネルギー(Eg=2.7eV)を考慮すると、Siの暗電流より4桁以上低減可能:現在の大きな暗電流値は、II-VI結晶のプロセス技術(特にパッシベーション)が確立されていないことによる} 上記のように、試作段階の素子であるが、S/Nを含めた特性で、実用素子(Si-PiN素子)を凌駕する特性がえられており、今後、素子作製プロセス(光集積化)及び超格子電極の最適化により、青-紫外光領域でSiの特性を1桁以上回る、新しい高感度光検出ダイオードが実用開発される可能性を検証した。
|