研究概要 |
表記研究課題の題意に沿って、現在までに得た研究結果は次のとおりである。 1.CdZnTe系で、Znが70%以上で急激にnからpに変化するメカニズムを解明するため、InをドープしたCd_<1-x>Zn_xTe(x>0.7)を育成し、アドミッタンススペクトロスコピーとPL測定を行った。Inのドープによって2つのタイプのアクセプターが誘起され、一つはよく知られたE_v+0.15eVのA-centerであり、いまひとつはE_v+0.27eVにある。後者が急激な変化の原因となる欠陥であることが分かった。 2.超薄膜ZnSe-ZnTe超格子における電子格子相互作用強度(Huang-Rhys paramerer S)を見積もった。S1帯に対して3.5、S2帯では7.4であった。この値を用いて光吸収とPLを説明する配位座標表示を提案した。 3.Clドープの高低坑Cd_<0.8>Zn_<0.2>Teに対してTOF法によりドリフト移動度を求めた。電子、正孔の移動度はいわゆるtrap-controlledで制限され、それぞれのキャリアトラップのエネルギーはEc-0.03eVとEv+0.14eVと見積もった。熱処理後、電子のtrap-controlledはなくなるが、正孔には変化がなかった。これらはV_<cd>とClドナーの複合欠陥で説明できた。 4.ZnSe/GaAs界面準位が、基板の前処理によって1桁減少することが、I-V、C-V、DLTSの測定から分かった。GaAsを通常の硫酸系処理の後HFに浸し、熱エッチの後直ちにSeを照射してからZnSeを育成すると、GaAsのmidgap以下のN_<ss,min>が1x10^<11>cm^<-2>eV^<-1>以下になる。界面準位のI-V特性に及ぼす影響を計算し、過剰電圧の低下をもたらす方策として提案した。
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