本研究申請者らにより既に報告した液晶ダイレクタの一般化表面アンカリング理論に基づき、超薄膜LB膜基板上での液晶アンカリング問題を明確にし、液晶分子レベルでの界面分子の動的挙動を明確にすることを目的に研究を行った。 一般化表面アンカリング理論では、ウィークアンカリング条件下でのツイスティッドネマチック構造のダイレクタ変位は、極角および方位角方向の互いに独立した二つのアンカリングエネルギではなく、界面と液晶により決定される唯一の一般化表面エネルギにより表される。本理論を、超薄膜LB膜を用いて、一般化表面アンカリング強度のLB膜厚依存性を実験的に明らかにした。10nm以下のポリイミド超薄膜構造を有するツイスティッドネマチック素子のダイレクタ変位を、新たに提案した光学的位相作法により測定した。超薄膜LB膜厚の増加に伴い、一般化表面アンカリング強度は増加し飽和する。本実験結果は、液晶分子とポリイミド分子鎖とのファンデルワールス分子間相互作用に基づく分子場理論により明らかにした。さらに、界面液晶分子の配向性を明確にするために、超薄膜液晶単分子膜の誘電特性と二軸性を、初歩的ながら、平均場理論に基づき理路的に明らかにした。 本研究成果を踏まえ、超薄膜界面での液晶ダイレクタのアンカリング問題をさらに詳細に研究するために、電界重複印加法による重水素化核磁気共鳴法により実験的・理論的な研究を開始している。
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