研究概要 |
半導体高指数界面への歪み超薄膜挿入の効果を調べるために、まずGaAs(311)基板上のInAs単原子層の電子構造を、半経験的なsp^3s^*強結合法を用いて理論計算した。計算のモデルとして(InAs)_1/GaAs)_n[311]超格子(n=10〜26)を用いて、(311)-InAs単原子層がGaAs禁制帯中に作るエネルギー準位を求め、光学的性質との関連を調べた。その結果、(311)-InAs単原子層は、GaAs禁制帯中に電子準位(伝導帯端直下)と正孔準位(価電子帯端直上)を形成することが明らかになった。電子準位-正孔準位間のエネルギー間隔E_<e-h>は、GaAs禁制帯幅E_gよりも0.06eV(n=10)と0.03eV(n=26)小さくなり、観測されたフォトルミネッセンス[M.I.Alonso et al.:Phys.Rev.B50,1628(1994)]の起源となる。また、電子及び正孔準位の波動関数は、InAs単原子層付近に弱く局在していることが明らかになった。InAs原子層を有する(311)AGaAs/AlAs界面のバンド不連続量の計算にも着手しており、そのために必要な界面の歪みエネルギー計算のプログラム、及び自己無撞着な電子構造計算のプログラムも完成している。
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