研究概要 |
当研究課題はSi超薄膜成長層,シリサイド合金層形成の素過程及び半導体-金属原子界面の構造と電子状態ついて電界放射・イオン顕微鏡法(FEM-FIM)と電界放射エネルギー分析器(FEES)により一原子次元で明らかにすることである. 下地(W,Mo,Ta)の試料温度が約50Kの下でSi蒸着により形成されたSi単原子層の構造は下地金属の原子配列構造と全く同じ疑似形態層を形成していて,そのSi疑似形態層は下地金属の蒸発電圧(V_0)の約0.96-0.98V_0で完全に脱離しSiと下地金属の界面は急峻である。蒸着されたSiを約850-900Kで数秒間フラッシングする事により,蒸着Siと下地Wの表面第一原子層との間で初期合金化(表面シリサイド層形成)が生じる.この時の仕事関数は下地Wのそれよりも0.1-0.2eV高い.この初期シリサイド過程に於けるSiの下地金属への内部拡散現象について,電界蒸発法により原子層毎の表面原子配列構造の観察と仕事関数の変化から調べられた.下地Wの表面第一原子層を剥ぎ取ると表面シリサイド層の殆どは蒸発により無くなるが,下地原子の原子配列構造はdisorder部分が残る.更に表面第2原子層を剥ぎ取ると下地の原子配列構造はほぼSi蒸着前の初期の原子配列構造に戻るが,Fowler-Nordheimプロットの直線はSi蒸着前の初期の状態には戻らない.しかし,表面第3原子層を蒸発させることにより完全に初期のSi蒸着前の状態に戻る. 上記の基礎研究を踏まえて,半導体-金属系についてのよりミクロな電子的情報を探るため現在FEES装置の構築及び分解能向上のための当装置の調整中である。
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