研究概要 |
干渉型光ファイバジャイロでは,光ファイバの二つの偏波軸を伝搬する両回り光の偏波モードゆらぎが回転角度速度検出感度の劣化を招くため,センシングコイルに偏波保持ファイバを用いることがジャイロの高感度化に有効であることが知られている.光ファイバジャイロを小型化するためには,ジャイロを構成する光デバイスをファイバ系に集積化することが必要となってくる. 光デバイスを集積する際には,熱拡散によりコアを拡大させてモードフィールド径を拡げたファイバ(TECファイバ)を用いることが有効である.TECファイバ技術を偏波保持ファイバの一種であるPolarization-maintaining AND Absorption-redusingファイバ(PANDAファイバ)に施した際にはコアと同時にコアの両側にある応力付与部も拡大されるため,従来用いられているPANDAファイバでは大きなモードフィールド径拡大率を得ようとすると,モードフィールドが楕円化するという問題があった. そこで本研究では,TECファイバ技術に適したPANDAファイバの構造を提案し,その設計を行った.設計したファイバの偏波保持特性を評価するために,これまで確立してきたファイバ中の応力解析を行いモード複屈折率を求めた.また,コア拡大部のモードフィールドをファイバ中の光波伝搬を解析することにより求めた.これらの結果から提案したPANDAファイバでは,光ファイバジャイロのような数百mのファイバ系においては十分な偏波保持特性が得られ,モードフィールドを楕円化することなく大きなモードフィールド径拡大率が実現できる可能性を,理論的に示した.
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