研究概要 |
画像のディジタル化,インターネットの普及にともない,同一画像を異なる観察環境,画像デバイスで観察する機会が多くなった.マルチメディア時代の画像の色再現を考える上で,このように異なる画像メディアにおいて色の見えを一致させることは,重要な課題となっている.本研究では種々の環境・画像メディアでの色の見えを決定している要因を明らかにすることを目的とし,以下の3つの項目について研究を行った. 1.CIEの標準昼光D65および写真・印刷の標準観測条件であるD50,および色温度3000Kの3種類の照明下における色票の見えとCRTディスプレイに表示された色の見えを両眼隔壁等色法および両眼自由視等色法により測定した.CRTの白色色温度として9300Kおよび6500Kの2条件を用いた.その結果,等色方法にかかわらず,測色的な予測値よりは色恒常による予測値に近い色度で等色されることが分かった. 2.異なる照明条件下でのハードコピーの色をCRTに表示し,両者の色を両眼隔壁および自由視で観察する.CRTに表示された画像の1部分だけの色を適当に変化させ,被験者はその変化させた色の部分を探索する.この色の変化が認識できる限界を測定した.この結果,照明条件が異なる場合の色の弁別は同一照明下での色弁別閾の約10倍であることが分かった. 3.異なる環境下における色の見えを予測するモデルの評価を行った.評価に使用したモデルはCIELAB,von Kriesモデル,Huntモデル,納谷モデル,RLAB,LLABの6モデルである.評価した観察環境は項目1と同一であり,モデルの予測する色をCRTに表示し,それと照明された実際のハードコピーの色を比較する.2つのモデルを時間的に交互に表示し,一対比較法により評価した.その結果,総合的にはHuntモデルが優れていることが判明した.
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