本研究では、多光子吸収過程によって誘起されるフォトリフラクティブ効果のメカニズムを解明し、それを光メモリに応用しクロストークの少ない多層記録光メモリを実現すると共に、ビットデータを結晶内のドメイン反転として記録し、固定するフィキシングの技術を確立することを目的としてきた。SBN結晶にホログラムを記録し、フォトリフラクティブ効果によって生じた電場分布によって、結晶軸の方向を反転させることによってデータを記録することを試みた。温度を制御することにより、結晶軸を効率よく反転させることに成功した。この手法により、6時間以上データを再生し続けても、破壊されないデータ記録を実現することができた。ホログラフィックにデータを3重に記録・再生することに成功した。現在ビットデータを記録してフィキシングする手法について試みているところである。 さらに、光源にチタンサファイアレーザーを用いて、LiNbO_3結晶中にレーザー光を集光することにより、集光点に屈折率変化を生じさせることに成功した。レーザー光を3次元に走査することにより、結晶中にビットデータを3次元に記録・再生した。面内のデータ間隔4μm、層間隔は20μmである。この方法により、データ層の間のクロストークを減少させることが実現できた。また、2光子吸収よって形成される屈折率スポットをcharge-transportモデルを用いて解析した。この結果、2光子吸収を用いると、光軸方向に局在した屈折率変化が生じることがわかった。
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