研究概要 |
平成9年度においては次の諸課題について研究を推進した。 (1)アップコンバージョンレーザと競合する諸種のコヒーレント・インコヒーレント光源について比較検討を行った。白熱電球・蛍光灯に代わり得る将来の固体化光源として,GaInN青色発振半導体レーザと希土類含有ガラスとの結合デバイスが有望であることを計算と発光材料についての実験によって示した。(発表準備中) (2)アップコンバージョン材料をはじめ,応用上重要な希土類イオン間のエネルギー漂移(MIGRATION)について詳細な検討を行った。Yb^<3+>イオンからTm^<3+>イオンへのエネルギー伝達過程をYF_3,BaY_2F_8およびフッ化物ガラスについて,新たに製作した多数の試料について測定を行い,同時に進めたモンテカルロ法によるシミュレーションと対比させることにより,漂移に関係する微視的なパラメタを決定することを可能にし,従来広く用いられていたレイト方程式模型の適用限界を明らかにした。結果は国際ルミネセンス会議に発表したほか,全論文の執筆を既に完了している。(JAP投稿予定。他に応物学会発表期間中3件) (3)固体レーザ材料発振機構に関する検討の応用可能性実証のため,Yb^<3+>イオンで増感したEr:LiYF_4結晶を用いた1.5μm発振レーザの製作実験を行った。第3準位(^4I_<11/2>)より第2準位(^4I_<13/2>)への非輻射減衰が小であるため発振準位が励起されにくいことが判明したので,アップコンバージョン介在励起を行い,励起がかなりの程度改善可能であることを示した。現在更に新しい励起スキームを採用して努力を継続している。
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