研究概要 |
本研究においては,希土類イオン含有材料の応用上に重要な意味をもつイオン間のエネルギー伝達過程の解明を中心的なテーマとして研究を推進した。かかるエネルギー伝達特性がホスト材料に敏感であることに着目し,主としてフッ化物結晶蛍光体をホストとした場合のYb^<3+>イオンからTm3+イオンへの伝達過程に対して詳細な実験的検討を加え,モンテカルロ法によるシミュレーション結果と比較した。その結果主として次の知見を得た。(1)エネルギー伝達係数はホスト材料によってかなりの差があり,類似した発光特性をもつフッ化物結晶間においても1桁近い開きがある。(2)エネルギー伝達係数(U^1)はドナー(Yb^<3+>)濃度に依存する。高いドナー濃度では一定値を示し低いドナー濃度ではほぼ直線的に増大する。(3)シミュレーション結果との対比から微視的な相互作用パラメタC_<DA>,C_<DD>を決定した。CDDの値は対象となるフッ化物結晶間ほぼ同一である。(4)これに対してC_<DA>の値はドナー濃度大の時のU_1の値とほぼ比例関係にあることが,実験・シミュレーション・解析結果の3者によって示すことができる。(5)ドナー濃度低い時のU_1の依存性も拡散律速領域に関する解析結果でほぼ説明が可能である。(6)このような関係は,固体レーザ材料はじめ希土類イオン含有材料の最適化の上で有用であると思われる。 上述の研究結果と合わせて,(1)1.5μm発振レーザの基礎実験(2)青色発光素子を利用した新固体化光源の基礎実験(3)Geド-ブMBE成長ZnSe結晶層のPL評価について研究を進めた。詳細な報告は成果報告書において行う。
|