融点付近の温度で氷のセン断付着力の小さい材料(塗料等)を探すのが目的である。付着力の小さいことで知られているテフロンや雪(氷)のよく付くガラスを始め、ポリカーボネイト、ポリエステル樹脂塗装網板について、-1、-3、-5℃の温度で氷のセン断付着力を測定し、その結果をMohr-Coulombの破壊式に従って整理した。粘着力成分と摩擦係数を、それぞれ、接触角および表面の粗度との因果関係を調べ、その一部を発表した。着氷力測定装置の温度制御が大変よく、その点に関しては精度の高い実験結果が得られたと思っている。一方、付着力の測定値にはばらつきがみられた。次年度はこのばらつきをできるだけ小さくなるように、試料の作成方法を工夫する必要がある。マイクロウオッチャーによる氷柱の根元の成長の観察はまだ成功していない。氷の付着面の観察は当初計画していたよりも困難な仕事であることが分かった。氷柱を観察していて、その表面には周期的な波模様(波長約1cm)が形成されることが分かり、その成因に大変興味を引かれている。
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