非線形カントール超格子構造および非線形フラクタル格子、フラクタル・ドラムのダイナミクスを動的スケーリング理論とスーパーコンピュータを用いた大規模シミュレーションにより調べ、カントール超格子、フラクタル格子およびフラクタル・ドラム上の局在振動が非線形性によってどのような影響を受けるのかを明らかにした。具体的には、力学的性質の異なる二種類の媒質をカントール集合と同じ規則性に従って並べた超格子モデルを考え、この上に励起される強局在振動モード「フラクトン」の寿命、非調和拡散、有効非線形強度等を計算した。また、フラクタル格子としては、非線形ボンド・パーコレーション系を、フラクタル・ドラムとしてはコッホ曲線をその周縁曲線とするコッホ・ドラムを用いた。数値計算では、10^6以上の自由度を有する離散カントール系およびコッホドラムの非線形振動を強制振動子法という以前我々が開発したアルゴリズムを用いて計算し、特定の線形局在振動からのエネルギー散逸の時間・空間依存性を求めることにより、非線形性によるフラクトン・モードの不安定性を解析した。非線形フラクタル格子上の強局在振動励起は非常に大きな有効非線形結合を持つことが実験的に示されているが、本研究による数値計算結果でも強局在振動モードの非調和崩壊寿命は、通常の拡がったモードに比べて極めて長くなることが示された。
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