研究期間を通しての研究成果について述べる。最初に研究代表者による数値的研究の成果を述べる。回転系における乱流渦構造に関する研究をまとめた論文と、回転曲がり矩形管内流の解の分岐現象を調べた論文をとりまとめ、平成11年度中に掲載されることとなった。以下にその内容を簡単に述べる。まず乱流渦構造に関しては、一様剪断流のない場合には一様回転の影響による波数間エネルギー輸送の詳細が調べられた。結果は慣性波の共鳴相互作用条件を満たす場合に主要な輸送が行われていることが数値データの解析から明らかにされた。次に、一様シアーが存在する場合は一様回転の方向と、一様シアーによる背景渦の方向・強度比によって多様な渦構造が発生することがわかった。まず、サイクロニックな系では、渦構造はパンケーキまたはリボン状の構造となる。アンティサイクロニックな系では一様回転が比較的弱い場合にはシアー方向に渦管が発達する。一様回転が大きくなるとある狭い領域で流れ方向にそろった秩序的な渦管構造が発達することがわかった。次に、矩形管内流では、一様回転によるコリオリ力と管の曲率に起因した遠心力が釣り合ったときに管流量が最大となり、その時に断面2次渦は6渦形となることがわかった。一方、研究分担者による実験的研究では、最終目標の予備的研究として行っていた旋回曲がり管内流の研究がまとまり、韓国で開催された国際会議で発表した。その内容は、流入時点で与えた旋回が、管内流の抵抗を大幅に削減するということで、工学的に重要な意味を持つ成果である。
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