研究概要 |
昨年度検討した,柔軟構造物のモデル化手法を更に発展させ,最適構造設計手法の構築を行った.昨年度は柔軟構造をコイルバネで結合されたセグメントにより離散化したモデルに関して,変形解析と感度解析の定式を行った.その定式は,変位拘束の形で外荷重を受ける場合に限られ,また単一棒部材に関するものであった.本年度は,ラグランジュ乗数法の汎関数の形式に検討を加え,保存力の形で与えられる外荷重も考慮できるものとした.また,部材結合の条件も汎関数中に組み込むことにより,複数の部材で構成される組構造の解析も可能とした.以上の定式を受け,最適構造設計アルゴリズムの構築を行った.感度解析により目標値を設定した構造応答が一次近似可能となり,その一次近似式に基づき構造変更量決定方程式が,非正方マトリクスを係数マトリクスとする連立一次方程式で得られる.その方程式をム-ア・ペンローズ一般逆行列を用いて解くことにより,構造応答を目標値とする新たな構造パラメータが算出できる. 構築されたアルゴリズムを用いて以下の問題の解決を図った. 1)障害物を回避したロッドの格納 2)柔軟マニピュレータの先端軌跡制御 4)座屈を利用した荷重リリース機構の開発 5)展開構造物の格納荷重の制御 また,形式的には同じ定式により,先進構造の構成部材として期待される膜構造物の形態シンセシスも可能となり,その検証も行った. 以上の検討を昨年度に構入のエンジニアリングワークステーション上で行った.検討を通じ,提案したアルゴリズムの有効性が確認できた.
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