初年度の研究ではまず実験により複合材料中の強化繊維-マトリクス界面の接着強度を求めた。3種類の試験片(垂直方向強度σ^*、せん断方向強度τ^*試験片、および引き抜き強度試験片)を用い、ガラス繊維布とエポキシマトリクス界面の接着強度データを求めたところ、一般に引き抜き強度が最も高く、せん断強度はその1/3-1/2程度であり、垂直方向強度はその中間の強度レヴェルにあることが確認された。この実験結果をもとに有限要素法と境界要素法を併用した、いわゆるハイブリッド型数値解析により、界面剥離強度をシミュレーションした。マトリクス-強化繊維界面の接合力はバネ要素により表現し、3次元方向に弾性バネを配置し、その応力が実験より求めた強度(σ^*またはτ^*)に達した瞬間、バネは切断され、その剛性を失うものとしてモデル化した。数値解析により求められた界面剥離挙動は、実験で求められた結果と良く一致しており、マクロ場における、複合材料の界面強度を"FEM-BEMハイブリッド-バネモデル"で解析する手法の有効性が確認された。さらにこの手法を、分散型モデルコンポジットの破壊解析に適用し、破壊の発生から剥離亀裂進展、マトリクス割れ、最終破断にいたるモデルコンポジットの破壊の全プロセスをシミュレーションした。またこれと同一のモデルによる破壊実験をおこない両者の結果を比較検討した。解析による複合材料の破壊プロセスは、実験における破壊挙動を良く再現しており、マクロ的な複合材料界面の強度解析は本手法が極めて有効となることが示された。
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