マクロ的な界面強度評価については、引き抜き試験を行ない、界面強度を求めた。マトリクスはエポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ)を用い、強化繊維としてはEガラス繊維による、ロービングクロス、ガラスクロス、チョップストランドマットの3種類を用いた。試験片としては以下の3種類のものを用意した。(1)引張り接着強度試験、(2)引張りせん断接着試験、(3)引抜き試験。これらの試験を実施した結果、引張り接着強度σはせん断接着強度tauより20-30%高目の値となった。また引き抜き強度tauはσ、tauのいずれよりも高く、それらの2倍ほどの値を示した。さらにグラスクロス-マトリクス界面よりもロービングクロス-マトリクス界面のほうがいずれの接着強度も高く、またチョップ繊維-マトリクス界面はその中間の値を示した。さらに有限要素法を用いて、マトリクス-強化繊維界面の接着強度を理論解析したところ、界面に沿って応力の匂配が現れ、複合材料の界面強度は、従来の界面方向の平均的物性値を用いては正確な剥離挙動が理解できないことが示された。 一方、ミクロ的なアプローチについては、分子動力学法による、プログラム開発を行った。その方法は、界面におけるガラス繊維分子(Si原子集合)をランダムに分散させた内部に、方向性を持つ分子状鎖CH_2-CH-CH_2を埋め込み、分子鎖の一方に力を与えた場合の、挙動を解析する方法を試みている。現在のところ、プログラムソフトの基本ができあがり、本研究の最終年度(平成10年度)にその結果を求める計画である。
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