本年度の研究により得られた事項は、 前年度得られた成果としての応力測定のためのX線侵入深さの定義を基にして、研削残留応力、コーティング膜の残留応力の測定に拡張した。得られて結果は以下のごとくである。 (1)研削残留応力勾配の解析 研削残留応力分布を求めるために、表面粗さの影響を考慮したモデルを提案した。さらに、残留応力分布を求めるためにsimplex法を用いて残留応力解析を行い、実際の残留応力分布と近い分布を得ることができた。 (2)熱遮蔽コーテイング膜の解析 プラズマ溶射された正方晶ジルコニアは、a軸とc軸の距離が極めて近いので、X線測定に適した回折を決定することが必要であり、400回折格子面がもっとも測定に適している。ただし、溶射膜は気孔とき裂があり溶射された溶着層の堆積で膜が形成されているために、すべりも生じている。またひずみゲージによる負荷方法は、ゲージセメントにより膜の欠陥やすべりが固定されてしまうので正しくない。 熱遮蔽コーテイング膜の上記の複雑な機械的挙動を正面に据えた研究がまず必要であることがわかった
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