本研究では、酸化物粒子分散強化型Ni基超合金(ODS合金)MA758の未二次再結晶材および二次再結晶材を対象として、(a)極微細結晶粒を有する未二次再結晶材の超塑性機能発現の可能性の探求、最適超塑性機能を示す加工条件の明確化、(b)(a)の機能を応用したODS合金の拡散接合技術の開発と接合体の試作、(C)試作したODS合金の最適接合接合体の超高温疲労強度評価を行った。 これより得られた主要な結果を要約すると、 (1)各種接合因子の影響について (i)組織連続性、欠陥の有無、および硬さ分布の観点から未二次再結晶材-未二次再結晶材の組み合わせが良好であった。 (ii)接合体の高温引張強度特性の観点からは、素材表面仕上げの影響はそれほど顕著ではなかった。ただし、引張破面を見ると、表面粗さが小さくなるほど界面を通した粒成長が良好で、表面粗さの小さい接合体が最良であった。 (iii)接合温度は、高温になるほど組織連続性が良好となり、本接合範囲内では1100Cが最良であった。 (iv)いずれの接合体および接合条件においても、二次再結晶処理を施すと接合界面における組織連続性が良好となった。これより接合後の二次再結晶処理は、良好な接合状態を得るのに必須である。 (v)接合圧力:接合圧力が高くなるほど組織連続性が良好となった。しかし接合圧力が高すぎると、接合後再結晶処理を施した場合でも接合面中心部には未二次再結晶粒領域が残存し、その領域の硬さも周囲と異なっていた。すなわち最適の接合圧力が存在する。 (2)接合体の強度について (i)T方向接合体は、L方向接合体よりも組織連続性がかなり良好であった。またT方向接合体においても、接合圧力が高すぎるとL方向接合体と同様、接合面中心部に未二次再結晶粒領域が残存し高温での機械的性質に悪影響を与える。 (ii)本研究で選定した接合条件で製作したL方向接合体の高温引張強度特性は、母材と同程度の引張強度を示したが、破断のびは母材に比べ劣っていた。また、高温疲労強度特性は母材に比べわずかに劣っていた。しかし、疲労限の低下割合は約30%であり、その他の接合法に比べて極めて優れている。 (iii)本研究で選定した最適接合条件で製作したT方向接合体の高温引張強度特性および高温疲労強度特性は、母材とほぼ同程度であり、実用化の見直しが大きい。
|