研究概要 |
本研究では,汎用の130℃硬化型CFRPプリプレグおよび航空機用の180℃硬化型CFRPプリプレグを積層して双片持ちはり(DCB)試験片を製作し,大気中及び水中において,ΔK一定条件下で層間はく離疲労き裂伝ぱ試験を行った.その結果,130℃硬化型CFRP積層板の場合,大気中ではき裂伝ぱ挙動に試験温度の影響はなく,また,熱疲労におけるき裂伝ぱ速度は,等温試験におけるき裂伝ぱ速度と同一であることが明らかになった.しかしながら,水中では,熱疲労におけるき裂伝ぱ挙動は,最大荷重のときの温度と等しい一定温度の結果とほぼ一致した.一方,180℃硬化型積層板の場合,大気中では,試験温度が高いほうがき裂伝ぱ速度が速かった.また,熱疲労におけるき裂伝ぱ速度は等温試験におけるき裂伝ぱ速度よりも低く,逆位相熱疲労におけるき裂伝ぱ速度は,同位相におけるき裂伝ぱ速度よりもよりも大きかった.さらに,等温試験におけるき裂伝ぱ速度は,試験温度を高温から低温に変化させた場合に大幅に低下あるいは停止した.水中における等温試験では,試験温度が高いほうがき裂伝ぱ速度が低く,水中における熱疲労試験では,き裂伝ぱ速度は,最大荷重のときの温度と等しい等温試験の結果とほぼ一致した.また,大気中において応力比の影響を調べた結果,応力比が大きいほどき裂伝ぱの下限界値は低く,同一のΔKにおいては,き裂伝ぱ速度が大きいことが明らかになった.さらに,破壊じん性試験,および高応力比下の疲労き裂伝ぱ試験においては,き裂進展抵抗はき裂進展量によらず一定であるのに対して,低応力比下ではき裂進展とともに増大することが明らかになった.これは,繊維によるき裂上下面の架橋によるものと考えられる.
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