| 研究概要 |
これまで試みられなかったエポキン樹脂を母材とするCFRPのCNBRゴム変性を行い,これによるCFRPの機械的特性,中でも静的引張り強度,落錘衝撃損傷,はく離破壊じん性値,疲労強度を明らかにすることを目的として,本研究を行った.強化材には平織りカーボン線維布,樹脂にはEpikote 828を用いた.CFRP積層板はハンドレイアップ法とホットプレスにより製作した.静的引張り/圧縮強度を中心にCFRPの面内はく離および衝撃強度特性等を調べた.実験ではゴム粒子径(3水準:50nm〜1μm),ゴム含有率(4水準:2.5〜10重量%)を変化させ,それらの緒特性に及ぼす影響を調べた.また,CNBRゴム変性による界面特性改質に関する情報を得るため,鋼を被着体とするDCB試験片を用い,エポキシ樹脂の接着強度特性に及ぼすゴム変性の効果も調べている.
その結果,母材中のゴム含有率が10%のとき,CFRPの静的引張り強度が最も高くなることが明らかとなった.このとき,その強度は未変性エポキシ母材のCFRPのそれより10%以上も向上する.ゴム含有率が10%より少なくとも,また多くとも静的強度は減少する.しかし,引張り剛性(ヤング率)はゴム含有率にほとんど影響されないようである.また,引張り破断までのAE事象を調べ,CNBR変性の効果を内部損傷の進展過程から検討した.DCB試験片によるモードI面内はく離強度試験の結果、静的強度を最大とするゴム含有率のCFRPの静的破壊じん性値GICは未変性のそれより2倍以上高くなった.接着強度の場合も同様である.さらに、落錘式衝撃試験結果により,CNBR変性されたCFRPの層間はく離を伴う耐衝撃特性(エネルギー吸収能)も向上することが明らかとなった.CNBRゴム粒子径の静的強度に及ぼす影響は小さい.次年度は疲労強度特性に及ぼすゴム変性の影響を明らかにする.
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