研究概要 |
精密切削,精密研削により創成されたマイクロ精密部品のエッジには必然的に微小バリが形成され,加工面も切削面,研削面であり,鏡面ではない.この意味でマイクロ複雑形状部品に対する独特な新しいバリ取り・鏡面仕上げ技術の開発が必要になる.現在の関心事は三次元形状創成技術の開発にあり,バリ取り・鏡面仕上げ技術までには至っていない.マイクロ部品といえどもエッジ仕上げと鏡面仕上げが要求され,これを実現する新しいマイクロ研磨技術の開発が切望されている. 本研究は,筆者が命名して15年間の開発研究を展開している『磁気研磨法』の大きな特長(複雑形状部品の凹凸面に沿って表面のみの鏡面化とエッジの微小バリの除去を実現できる特長)をマイクロ機械部品の精密仕上げに適用し,新しいマイクロ磁気研磨法を提案するとともに,その基礎と応用研究を展開することを目的としている. 平成8年度は次の成果を得た.(1)マイクロ磁気研磨法の加工原理を解明するために,マイクロ部品の拡大モデルを作成し,シミュレーション実験とパソコンを用いた有限要素法磁場解析を行い,磁極の寸法形状と配置がマイクロ加工領域の磁場分布に及ぼす影響を明確にした.(2)マイクロ磁気研磨装置を製作した.対象がマイクロ部品のために裸眼による磁極設定,加工状態の観察,表面粗さ測定等は不可能である.このためCCDカメラを用いた観測システムを構築した.マイクロ磁極先端は交換可能なものとし,エアシリンダ駆動によって簡単に位置決め可能な装置とした.マイクロ磁場発生器を製作し,上記の磁気回路構成ユニットを小形卓上精密旋盤に搭載してマイクロ磁気研磨装置を製作した.(3)研磨実験により磁気研磨特性を明らかにし,加工機構についても考察した.(4)得られた成果を日本機械学会で発表している.
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