研究概要 |
精密切削,精密研削により創成されたマイクロ精密部品のエッジには必然的に微小バリが形成され,加工面も切削面,研削面であり,鏡面ではない.この意味でマイクロ複雑形状部品に対する独特な新しいバリ取り・鏡面仕上げ技術の開発が必要になる.現在の関心事は三次元形状創成技術の開発にあり,バリ取り・鏡面仕上げ技術までには至っていない.マイクロ部品といえどもエッジ仕上げと鏡面仕上げが要求され,これを実現する新しいマイクロ研磨技術の開発が切望されている. 本研究は,筆者が命名して16年間の開発研究を展開している『磁気研磨法』の大きな特長(複雑形状部品の凹凸面に沿って表面のみの鏡面化とエッジの微小バリの除去を実現できる特長)をマイクロ機械部品の精密仕上げに適用し,新しいマイクロ磁気研磨法を提案するとともに,その基礎と応用研究を展開することを目的としている. 平成9年度は,平成8年度研究を基盤として進め,次の研究成果を得た.(1)パソコンを用いた有限要素法磁場解析を行い,微細工作物に対応可能な磁極寸法・形状及び磁極配置を明確にした.(2)平成8年度に設計・製作した小形精密旋盤搭載型マイクロ磁気研磨装置のうち,電磁コイル利用磁場発生法の不備を改善し,レアア-ス永久磁石利用磁場発生法に改造した.さらに,マイクロ加工装置の主要部を再設計・製作し,実験装置上の問題点を解決した.(3)各種の加工条件を設定して実験し,特に小径円筒に対する磁気研磨特性を明らかにした.(4)例えば,円筒径1.5mmのSS400材について,4.5μmRyの加工前表面を0.5μmRyの精密表面に仕上げることに成功している.(5)得られた研究成果を日本機械学会・精密工学会・砥粒加工学会で発表した.
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