研究概要 |
製品の設計・生産には多くの領域や部門が関与し,それぞれの領域での自動化,コンピュータ化によりこれまでに大きな成果が得られたが,さらなる飛躍をめずためには,総合的な観点から製品の設計・生産に関係する要因を把握し,総合的に最良のものを得るための設計・生産の新たな概念と方法論,およびそれを具体的に実現するためのシステム最適化の技術が必要不可欠である.本研究は,コンカレントエンジニアリングのコンセプトに基づき最良の製品を設計し生産するための方法論とその基になる理論を確立し,さらに具体的な方法や手順を構築することを目的とする.ここでは,コンカレント最適化,異なる利害をもつグループでの意思決定,異なる分野の知識・知恵・ノウハウの融合をはかるコラボレーション,それらに基づく製品設計解のブレイクスルーのための基本的な理論・方法論と具体的な手順を構築し,提言した.本年度は,以下の研究をおこなった. (1) より望ましい設計解が(含まれるように設計の実行可能域を広げその中で最良の解が含まれるように実行可能域を絞り込んでいく最適化システムを構築した. (2) 異なる得意な技術もつ企業間で新しい製品の協同開発プロジェクトを実施するバーチャル・エンタープライズにより,協創としてのシナジー量を最大化するための,支援システムを構築した. (3) 製品設計において,人間の感性という主観的な評価をも製品性能・品質や製品コストなどの通常の客観的な特性評価とコンカレントに実施する,コンカレント最適設計法を構築した. (4) 異なる部門がコンカレントに設計モデルにアクセスして,トップダウンとボトムアップの両方の設計法を繰り返し,単純なモジュールからオペレータの働きにより次第に複雑な新しい製品の設計解を得ることを支援する,コンカレン ト設計法を構築した. (5) 最後に,これまでに構築した種々の立場からのシステムの,相互の関連付けと総合化を行った.
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