研究概要 |
ツイストドリルによる連続送り深穴加工では切りくず形状が連続型で溝に納まる形状であることが必要で,本研究の新型ドリルの場合S50Cなどこれまでの実験の範囲内では,切削条件が適切であればドリル溝のピッチに等しい長ピッチ型の切りくずが生じ,条件を満たす.この長ピッチ型切りくずを生じさせるには第一主切れ刃の傾斜角の大きいことが最も大きな要因であるが,第二主切れ刃の影響も大きい.ここをのみ刃型にすればスラストが過大で実際上加工困難であるが,長ピッチ型切りくずも生じにくい.この第二主切れ刃に加工困難と考えられた正のすくい角(約4度)を付けたところ,そのドリルでは長ピッチ型切りくずが浅い位置で生じた. 切りくずが長ピッチ型となるには被削材の機械的性質も大きく影響すると考えられ,それに影響する切削温度の影響については次のことが分かった.切削温度は切れ刃の通過位置によって大きな差があり,ドリル加工の場合切れ刃の通過位置を特定できないため,被削材側での温度測定をドリル中心の通過位置で測定した結果;被削材にS50Cを用い,ドリル回転数と送りを一定にし,加熱穴あけ,乾式,湿式と条件を変えると,長ピッチ型切りくずの生じる穴深さは変化する.その時のドリル中心位置での切削温度は乾式,湿式の差はほとんどないが,加熱穴あけの場合被削材の加熱温度を高くするとともに高くなった.長ピッチ型切りくずは第一主切れ刃から生じる切りくずが主である.またドリル切れ刃上の各点が通過する被削材の温度は異なることから,第一主切れ刃が通過する部分の切削温度を確かめねばならないが,乾式と湿式ではほとんど同じ温度で切りくずが長ピッチに変化することから被削材の機械的性質が影響していると考えられる.その詳細な機構については検討中である.
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