研究概要 |
システム知能化のための第一段階として,この方式により転造加工した場合の各種歯形誤差に特有の転造量分布や転造率に関する,データベースを作成するための作業を行った.その方法として,まず試作開発した自由駆動方式のねじ状工具による歯車仕上げ転造装置と,標準のねじ状工具を用い,標準歯車および代表的歯形誤差である正および負の圧力角誤差をもつ歯車の仕上げ転造加工実験を行った.本年度の研究では,圧力角誤差は約0.12°(歯形誤差量にして10μm程度)と設定し,素材歯車はプロチュバランスホブによる歯切り後,インボリュートグライダーで研削し製作した.次に,CLP自動歯形測定器により加工前後の素材歯形形状を詳細に調べた結果から,上記データを算出した.また本方式では工具押込み量を大きくすると,圧力角誤差は改善されるが,中凹の歯形になるという問題点が明らかになった.第2段階として,任意の歯形形状のねじ状工具で仕上げ転造加工を行った場合の,加工後の素材歯形形状を予測するための計算方式を導出した.第3段階として,それらデータベースと計算方式を組み合わせることにより,任意の圧力角誤差を有する歯車の歯形精度向上に対して有効な修整歯形をもつ,ねじ状工具の設計を行うことができる総合システムを,ワークステーション上に構築した.さらに,このシステムで設計された工具歯形形状を若干単純化した,数種類のねじ状工具を実際に製作し,加工実験を行った結果,問題となった中凹の歯形形状はなくなり,圧力角誤差と歯形精度は改善され,提案した歯形予測計算法や工具設計システムの有効性と妥当性が確認された.
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