研究課題/領域番号 |
08650148
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
石橋 彰 佐賀大学, 理工学部, 教授 (80037720)
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研究分担者 |
園田 計二 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (50163142)
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キーワード | 歯車 / 精密割出し / セルフロッキング / 動力伝達効率 / ウォームギヤ / 差動遊星歯車 / 不思議歯車機構 / 減速歯車 |
研究概要 |
従来の精密割出し装置には、ほとんどすべて、その主要構成要素としてウォームギヤが用いられている。しかし、ウォームギヤは平歯車よりも、著しく加工がむつかしいので、超精密割出し装置に利用することは困難である。本研究では、ウォームギヤのすぐれた特徴(セルフロッキング、大きな減速比)を有する割出し装置の主要構成要素として、平歯車のみを用いる外転遊星歯車機構を採用したところに特徴がある。 試作した外転遊星歯車式割出し装置は、不思議歯車機構であり、固定太陽歯車の歯数はZ_1=150枚、遊星歯車の歯数はZ_2=Z_3=20枚、出力軸の歯車の歯数Z_4=152枚である。サーボモータ軸に歯数Z_5=20枚の歯車を用いて遊星歯車のキャリアに固定された歯数Z_6=194の歯車を回転させる構造になっている。全減速比は737.2である。ウォームギヤと異なり歯面間の滑り速度が小さいので、高速で回転させても焼付きの生ずることはない。 試作した装置の割出し精度は、Nikon社製のセオドライトNT-5(オートコリメーション付)で測定した。先ず、すべての歯車を切削加工のみとした場合には、割出し誤差は、隣接および集積ピッチ誤差で±30秒であった。遊星歯車のみを研削仕上げすれば、これらの誤差は±20秒に減少した。2個の遊星歯車の中の1個をプラスチック歯車にしたところ、バックラッシを完全に除去することができた。 試作割出し装置の太陽歯車は寸法に制限されて研削することができなかったが、この歯車も研削すれば、更に割出し精度は向上する。また、遊星歯車の数も8個まで増すことができるので、平歯車のみで構成される外転遊星歯車機構を用いれば、ウォームギヤを用いる割出し装置よりも精度の高い超精密割出し装置が実現できることがわかった。
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