本研究は、現有のYAGレーザを利用して、サファイヤ、炭化珪素、ダイヤモンドなどの難加工材料への腐食液中照射による微細パターン加工および高強度接合加工の可能性を明らかにすることを目的としている. 微細パターン加工については、本年度はレーザ光導入・照射が可能な腐食液循環装置を試作し、YAGレーザの集光照射によるサファイヤの局部エッチングを試みた.KOH水溶液中で、局部的にグラファイトコーティングを施した研摩済みのサファイヤウエハに10〜20J/パルスのレーザ光をデフォーカス状態で照射したところ、コーティングした部分のみエッチングされることを確認し、微細パターンのコーティングにより、ワンパルスでの微細レーザパターンイングが可能であることを明らかにした. 高強度接合加工については、本年度は現有真空チャンバー内にレーザPVDを行うための光学系を試作した.これは、真空チャンバ内で回転するターゲットに、ファイバ伝送されたレーザ光を適当な斜入射角で集光照射出来るようにしたものである.サファイヤをターゲットとする蒸着試験を行い、連続して安定した蒸着が可能であり、ガラス基板に透明なサファイヤ膜が形成できることを確認した.これにより、サファイヤとの拡散反応が可能でかつYAGレーザ光を吸収しうる薄膜をレーザ蒸着し、この薄膜を介してサファイヤ同士を密着させることを目標とする接合加工の実現可能性の見通しが得られた.
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