研究概要 |
機器の微細化が注目を浴びている.特に医用分野では,現需要からの要求のみならず,新たな治癒方法を開拓する観点からも期待されており,研究意義は大きい.本研究は高い生産性を誇る金型成形の高自由度化を実現し,医用微細素子成形に供せんとするものである. 成形の基本はタレットに用意された工具群より必要な工具を選択し,所定の位置に位置決めされた丸線素材を逐次加工していくものである.丸線は寸法精度,真直度ともに高く,加工位置決めが容易であること,さらに直線精度も微細素子素材としては十分高いこと,さらに平坦によって板状に成形できるなど優れた特徴をもっている.加工はタレット内の工具群により決まるが,対象形状をある程度特定することが多いので,形状変更には対応できる.加工自体はせん断,鍛造を主体とするが,原理上,機械加工,ビーム加工等を追加でき,それらの利点も生かせる構造となっている.加工位置は材料指定で行う.材料を平面内x・y・θ,及び線材の回転φを定めることで位置指定を行う.こうした概念設計を基に具体的な成形装置の設計・試作・機能評価を行った. 試作機の機能は医用鉗子部品(特定形状部品)の寸法精度と単純丸形打抜きによる繰り返し精度で評価した.その結果,鉗子部品の寸法精度は【.+-。】5μm,繰り返し精度は【.+-。】6μm以下となり,各駆動系から算出される誤差以下となった.この結果は現在の医用機器素子の成形精度としては十分であり、実用に供することができる.さらに成形時間と成形経費を算定した.現状の加工技術を開発した新技術に代替することで、成形時間を1/40,経費を1/100程度に低減できる.また,本技術の特徴である加工自由度の高さ,組立の容易さは当該分野の発展に十分寄与できる見通しを得た. 次年度はさらに高い加工自由度の実現と表面仕上げについて研究する.
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