研究概要 |
1.研究の目的と背景 医用工具の効率的な生産方式が求められている実状に鑑みて,新たなタレット方式の微細素子成形システムの構築を目的とする研究を行う. 2.得られた成果 タレット方式の微細素子成形システムの基礎が前年度の研究で構築されている.これはタレットと呼ばれる円板上に複数個のパンチ・ダイを設置し,これらの任意選択と材料移動により三次元の微細形状を創成するものである.本年度は当初の目的に沿い,精度の向上と成形の自由度に関する検討を行った. (1)加工精度 医用の三次元微細成形に当たっては圧縮加工を必ず必要とする.これは加工力が大きい関係上,工具系の弾性変形が無視できなくなるので,工具先端近傍の変位データを基に制御する方式で2μm程度の精度を達成した.これは医用工具としては十分な精度となっている. (2)成形自由度 本加工システムは鍛造とせん断による逐次成形である.そして切り欠き加工は任意輪郭成形の基本である.しかし,そのためにはタレット上に多くの工具を必要とする.そこで,新たにパンチ・ダイ同時回転ユニットを加える新たなシステムに変更した.簡単な形状のパンチ・ダイ(具体的内は正方形と三角形)を同時回転させることで,様々な角度のトリミングが可能となった.この方式により,医用工具の複雑成形,例えば医用鉗子の鰐口部品の鰐口部に任意角度の成形が可能となった (3)バリ処理 医用工具は安全性が最重要視される.鍛造とせん断による加工ではバリが避けられないため,磁気研磨を用いる手法を試み,完全に除去できるのみならず,エッジに理想的な丸みをつけることに成功した.以上の検討により,本研究が最初に計画した部分はほぼ達成できた.
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