(1)隣接するアームの中心線に平行に配置されている動力伝達軸間に、アームの交差角に関係しないで回転運動を伝達するための等速継手を空間7R7節リンク機構を応用して設計した。この等速継手の影響係数および入出力支持二連節の誤差が等速継手の機構定数に与える影響を解析すると共に、出力角誤差を精密に測定することにより、この等速継手が-60°〜60°の軸交差角において0.5°程度の誤差で使用可能であることを確認した。 (2)スティーブンソン形6節リンク機構の入力スライダーの直進運動を出力リンクの回転運動に等速で変換する直進一回転運動変換機構を新しく開発し、この機構とボールねじ直動機構を用いることにより、直流モータの動力をアームの中心線に平行に配置されている回転軸に伝達して肘関節および手首関節を駆動する方式を提案した。この結果、動力源を本体または本体付近に設置した新しい形式の多関節マニピュレータ機構が可能になった。 (3)手先効果器をアームに対して球面運動させる手首関節には、その動力軸に回転対偶されている球面滑り子を入力軸が直交している二つの球面案内溝リンクで駆動する自由度2の球面5節リンク機構を採用した。手先効果器の運動領域および出力位置の誤差特性を実験的に解析し、この機構が揺動角120°で運動干渉の無い手首関節として利用可能であることを示した。 (4)RSCR空間4節リンク機構を手首関節の直交2軸の回転運動創成機構に設計するためにその運動特性解析式を与え、運動領域の識別て手順を確立した。 (5)試作した4自由度マニピュレータ機構の動的特性試験用のサーボ機構を設計・製作した。そして、別途製作した自由度2の平面運動機構を用いて、楕円運動、レムニスケート運動の創成を行い、創成軌跡の分割数、パルス周波数および運動時間と出力誤差の関係を明らかにした。
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