研究概要 |
本研究では、高品質の意匠形状製品を素人でも容易に計算機内にモデル化できるように,外部で微妙な感性を直接表現して確認しながら設計した実体モデルを3次元測定して得たデータから特徴線抽出して行なう方法(リバースエンジニアリング)を提案した. 複数の基本曲面から構成される対象物を,従来手順をフォローするように構造的に分析して仮想稜線・境界線を含む特徴線を抽出する.まず,データ中に含まれる直線・平面,平行性といった暗黙の制約や,形状の特徴部分について与える大まかな情報からデータをセグメント化する.各セグメントに最小自乗曲面を当てはめ,次にこの曲面から,より近距離にある点群にさらに高次の曲面を当てはめるということを繰り返す.このようにして,不要なデータをふるい落としながら段階的に曲面を当てはめた後に,曲面間の交線として特徴線を導く. また,特徴線抽出後の高品質な曲線・曲面を表現するために,曲率を十分制御して,曲面上のハイライトや写り込み映像から歪みを除くことができる次のような曲線式を導いた.弧長,接線,曲率といった人が直観でとらえやすい幾何情報だけから形状設計できる,(1)クロソイドスプライン補間曲線,(2)曲率が弧長の2次のB2-スプラインで表される補間曲線,(3)これらの曲線を複合化した曲線,(4)曲率半径が折れ線グラフとなる対数らせんスプライン補間曲線を導いた.これらの曲線では曲率を弧長パラメータ表現し,周知のBezier手法を曲率空間で使って,ウネリの少ない曲率(半径)プロファイルから直接,滑らかで美しい曲線を設計できる。
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