研究計画の通り、流速測定用に8本の熱線プローブを作成した。これらのプローブを乱流境界層が発達している平板に平行にz方向に並べて置き、8カ所の流れ方向速度成分を測定した。8本のプローブを壁から距離を変えて、境界層のいろいろな位置で測定を行った。8本のプローブの中心が壁面圧力測定孔が来るようにしてある。壁面圧力変動の正のピークがある敷居値を超える条件で速度変動信号を条件抽出し速度変動の集合平均を計算機を使って求めた。 1、集合平均の結果から次のことが明らかになった。(1)壁近くは圧力孔の近の速度変動は負から正に変わるが、圧力孔から離れたz方向位置では速度変動は正から負にかわる。これは二重渦対に伴う速度変動である。この傾向は境界層厚さの0.8程度まで及ぶ。(2)境界層の外側では圧力孔の上と圧力孔から離れたz方向位置で速度変動のパターンが同じである2次元性が明らかにされた。またこのパターンに見られる流れ方向の変動の周期はおよ境界層厚さの2ないし3倍である。 2、パターン認識により明らかにたったこと。圧力孔の直近の壁近くで得られた速度変動の集合平均をパターンとしてパターン認識を行ったところ、(1)そのパターンに良く似たパターンが現われる確率密度の分布は圧力孔からz方向に離れるに従いその分布の幅が広くなることが明らかになった。(2)パターン認識により流れ方向の速度変動の周期性が明確になりいわゆるバーストの周期に近い変動が明らかにされた。これはBITA法では明確にできなかったことである。 3、パターン認識による研究は一応終えたので、今後は二重渦対のトポロジーについて研究する予定である。
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