本研究では、流れを連続体として扱うことが困難とされる希薄気体流れの数値解析において、現在最も信頼正が高いと考えられている直接シミュレーション・モンテカルロ(DSMC)法の高精度化を目標として、実在気体の性質を現実的に表現するためのモデルの評価、開発を目的としている。 本年度研究実績として以下の結果が得られた。 1.分子間の弾性衝突に関し現在提案されている、VHSモデル、及びVSSモデルに関し、それらの粘性、拡散等の輸送係数の性質を分子運動論を用いて詳細に検討し、モデルの性能、問題点を明らかにした。また、混合気体衝撃波の 内部構造の解析、混合気体自由噴流の流れの構造解析を行い、これらのモデルが、解析結果に与える影響およびその原因を明らかにした。以上より、弾性衝突モデルに関しては、現在の所VSSモデルが現実的なモデルであることが明らかになった。 2.非弾性衝突モデルに関しては、SICSモデルに対し、輸送係数の性質を調査した。その結果、粘性係数において実測値との間に最大で10%程度のずれが生じることが明らかになり、モデルのパラメータの修正、モデルで用いられるエネルギーゲイン関数の修正等が必要になることが分かった。
|