研究概要 |
2球間クエット流の層流一乱流遷移における撹乱消滅現象の解明のため,実験と数値計算を行った.2球間クエット流の層流から乱流への遷移は隙間比による依存性が強いので,まずこのような特異現象がどのような隙間比及びレイノルズ数の領域で生じるのか.また,どのようなメカニズムにもとづくのかについて実験的に考察した.次に,数値計算によりスパイラルTG渦発生のメカニズムを考察し,次の結論を得た. 1,撹乱消滅現象は隙間比が0.13-0.17で,レイノルズ数比が約7付近で生じる. 2、位相空間内にT2トーラスを形成する場合は,相関次元d=2,リャプノフ指数λ=0の時である.λ>0になればストレンジアトラクターが現れdが増大する.d=2付近においてもλ>0であればT2トーラスには成らず,ノイジ-リミットサイクルになる. 3,撹乱成分を高周波成分と低周波成分とに分けたとき,撹乱の消滅現象が生じない場合には高周波成分の撹乱エネルギーが増大し続けるが,消滅現象が生じる場合には高周波成分の撹乱エネルギーがほぼ0にまで減少する. 4,スパイラルTG渦の構造の数値計算結果は筆者らが以前に明らかにしたものと一致している.スパイラルTG渦の形成過程には初期段階,発達段階,定常的に維持される段階がみられる. 5,初期段階ではtilting項が寄与する.発達段階ではtilting項が生成に寄与するが,stretching項が制御に働く.スパイラルTG渦の維持機構は主にtilting項によるものである.
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