研究概要 |
本研究の目的は、一様な速度勾配を持つ液流における単一気泡の形状や運動特性に関する実験結果を基に、信頼できる気泡運動の予測モデルを構築することを目的としている。本年度は、昨年度に引き続き実験データベースの構築を行い、広範囲の気泡径、物性値に対する実験データを得た。この際、気泡位置、形状、速度を計測するための手法および揚力係数の算出方法に改良を加えた。この実験データベースの基づき、揚力係数と気泡径、物性値等の関係を把握した後、揚力係数に関する次の数理モデルを構築した。 1 一様な速度勾配中の気泡の横方向力(F)は、F=-C_Lρ_Lπ/6d^3V_R×rotV_L(C_L:揚力係数,ρ_L:液相密度,d: 気泡径,V_R:相対速度,V_L:液相速度)で記述でき、揚力係数は流動状態により決まる定数となる。 2 揚力係数は、気泡レイノルズ数と修正エトベス数の関数として記述でき、以下の形をとる。 min[0.288tanh(0.121Re),0.00105Eo^3_d-0.0159Eo^2_d-0.0204Eo_d+0.474] Eo_d<4 C_L=0.00105Eo^3_d-0.0159EO^2_d-0.0204Eo_d+0.474 4【less than or equal】Eo_d【less than or equal】10 -0.29 Eo_d>10 また、揚力係数が気泡背後のWake構造と関係すると推察されたため、レーザー誘起蛍光法を用いた気泡周りの速度計測手法を構築し、静止液中および速度勾配を持つ液流中の単一気泡のWakeを定量的に測定し、Wakeの変化を調べた。この結果、Wakeの構造が気泡の等価直径よりも気泡の流れに垂直な方向の長さに関係が深いこと、および速度勾配を持つ液流中では気泡のWakeが左右非対称になることを確認した。
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