昨年までの結果から、空調等に用いられる低圧の遠心ファン羽根車の特性の総合的な評価を行うことができた。今年度はそれをもとにした良好な性能の羽根車を製作し、その性能の吟味を行った。また、その結果をふまえ、騒音性能の予測理論を数値流体力学と結び付けて理論化した。さらに、比較的簡単な数値シミュレーションによって羽根車の非定常特性の予測法を提案し、羽根車の騒音と振動へ応用を示した。以上のことについて、具体的な項目を以下に、まとめる。 回転数が数百rpmの比較的低速の場合には、騒音特性の面では乱流騒音が支配的となる。この場合は、羽根車内部での相対速度と羽根車からのはく離流れを代表する後流幅が騒音の重要なパラメータとなる。この時の発生騒音のレベルの評価を、これら乱流騒音の特性をもとに、次元解析の理論をもとに羽根車の諸元から評価する方法を提案し、騒音設計の良好な指針となることを示した。 一方、回転数が千rpmを超える比較的高速の場合には、わずかな入口流れの偏りが、羽根車に大きな非定常的な負荷をもたらす。このために、騒音面では離散周波数騒音が増大し、騒音の支配因子となる。これは実際上は避けることができず、存在する上で影響を極力押さえるように考慮することが必要である。その点で、動翼の後流の拡散を促す構造、また流入偏流を押さえ、拡散を計るためのベルマウスの設定、など総合的に行うことを提案した。 流体力学的特性としては、入口出口面積比の影響を考慮して設計した羽根車によって、良好な性能を得ることができた。この場合に、低回数数の場合は、その比か0.8から1.1程度とかなり制限がある。高回転数では0.6程度から大きい範囲では良好な性能が得られることを示した。
|