ガスタービンに用いられる遷音速翼列において発生するとされる空力不安定現象(遷音速フラッタ)と翼間流路での衝撃波変動との関係を定量的に評価し、フラッタ予測に役立てる事を目指して、本研究では二次元遷音速翼列に関して、まず衝撃波の翼間流路での発生、移動、消滅など非常に複雑な挙動および翼面境界層との干渉等の現象を実験により明確にし、次にこの結果と数値解析結果との比較検討をとおして、衝撃波変動が遷音速翼列の空力不安定性に与える効果を定量的に評価しようとするものである。 平成8年度は、数値解析の遂行と検証実験の準備を中心に行った。 1 数値解析に関して、静止および振動する二次元遷音速翼列(二重円弧翼型)について、翼間に衝撃波が発生している作動状態を中心に計算を行い、翼列の非定常空力特性、翼面上の空気力仕事分布さらに衝撃波の挙動を調べ、非粘性計算では安定と判断される場合でも、粘性計算では衝撃波の変動効果により不安定となる場合があり得る事を示した。 2 実験に関して、本研究では代表的な場合として二次元対称円弧翼から成る静止翼列について、衝撃波の挙動解明に重点を置いたシュリーレン法と高速ラインスキャンカメラシステムを組合わせた定量的可視化計測を中心に行う事とし、まず衝撃波位置の定量的計測システムの構築を行った。次に本装置の評価を目的として実際の翼間衝撃波の計測を行い、数百Hzで振動する衝撃波の変動位置を検出可能であるとの結果を得た。
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