放射状自由液膜流れの乱流遷移を応用した新しい液体微粒化法の開発と微粒化機構の解明

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08650219
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 東 恒雄 大阪市立大学, 工学部, 教授 (40047329)
• キーワード: 液体微粒化 / 乱流遷移 / 自由液膜流 / 安定性 / 放射状流れ / 速度分布

研究概要

円形ノズルの先端と円盤とで構成した薄い円筒状の隙間から水を放射状に流出し,層流境界層型速度分布を液面まで発達させた液膜を円盤周端から大気中に放出してできる放射状自由液膜流れでは,液膜厚さが小さくレイノルズ数が大きな場合,乱流遷移直後で液膜に多数の穿孔が生じ,液膜が微粒化することがわかった.遷移位置付近を詳細に観察した結果,遷移や液膜の穿孔・微粒化は以下のような過程で生じることがわかった.
(1)同心円状のしわ状の波の出現とその3次元化による筋状の凹凸の形成.
(2)凸部における微細粒状波の集中的派生(乱流遷移)と粒状波の密集した筋状液塊部の形成.凹部の薄膜化による薄膜部の形成.
(3)薄膜部における穿孔と孔の拡大.液塊部周縁の微小突起の分離による粒径数十ミクロンメーターの液滴生成(微小突起分離型分裂).
(4)液塊部の数珠状液糸への変形と液糸の再分裂による粒径数百ミクロンメーターの液滴生成(液塊崩壊型分裂).
また,高流出レイノルズ数あるいは円盤回転により円盤上で遷移が生じる場合には穿孔が極端に抑制されることも明らかにするとともに,良好な微粒化が生じる条件を示した.

研究成果

• [文献書誌] Tsuneo AZUMA: "Instability and Transition in a Radial Boundary Layer Flow" Proc.Int.Conf.on Fluid Engineering,JSME Cent.Grand Congness. 1. 339-344 (1997)
• [文献書誌] T.AZUMA & T.WAKIMOTO: "Liquid Atomization Due to Laminar-Turbulent Transition of a Free Liquid Film Flow" Proc.7th Int.Conf.on Liquid Atomization and Spray Systems. 1. 70-77 (1997)
• [文献書誌] Tsuneo AZUMA: "Instability and Transition of a Radial Liquid-Film Flow" Int.J.Jpn.Soc.Mech.Eng.41-2-B(to be published). (1998)
• [文献書誌] 脇本辰郎、東 恒雄: "放射状自由液膜流の乱流遷移による液体微粒化に関する研究" 日本機械学会論文集 B編. (掲載決定). (1998)
• [文献書誌] T.AZUMA & T.WAKIMOTO: "Breakup and Drop Formation of a Radial Liquid Sheet Induced by Laminar-Turbulent Transition" Proc.3rd Int.Conf.on Multiphase Flow. (to be published). (1998)