研究概要 |
曲面上における反射衝撃波の形成機構について調べるため,曲率半径40mmの円筒状モデルとそれを模擬した階段状モデルを製作し,衝撃波管を用いて実験を行った。入射衝撃波マッハ数は1.10,1.20,1.30,1.40である。 円筒状凹面における衝撃波の反射は,その反射形態を初期のマッハ反射から三重点が凹面に衝突して形成される瞬時の正常反射,その後の還移正常反射へと変えていく。特に,初期のマッハ反射においては反射波が弱く,三重点も明確ではないという特徴があり,これは通常の平面斜面における反射と著しく異なる特徴だった。 昨年度は,段階状モデルを使用することにより,反射面から人為的に擾乱(弱い圧縮波)を発生させ,その擾乱の挙動を観察することにより,円筒状凹面における特異な反射波の形成機構についての知見を得ることができた。階段状モデルにおける反射形態を観察することにより,階段で形成された擬三重点(入射波と擾乱の交点)が遷移に密接に関係していることが判明し,そのことから凹面の場合の遷移臨界角の解析公式を導いた。 今年度は前年度の成果をふまえて,遷移臨界角の初期角とマッハ数による依存性について調べた。凹面および凸面について,初期角が0〜30^.まで,5^.刻みで変化させたモデルを製作して実験を行った。その結果,初期角が0^.の場合には擬三重点と圧縮波が集積して形成される三重点が遷移点付近で接近すること,そのために擬三重点によって予測した遷移臨界角の理論式が実験と一致すること,また初期角が大きくなると両者の隔たりが大きくなり,理論式と実験結果は一致しなくなることが判明した。初期角が大きい場合にも遷移臨界角を正しく予測する理論を構築し,実験結果との良好な一致を得た。
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