シリコン融液から単結晶を育成するチョクラルスキー法(Czochralski);CZ法)の回転石英坩堝および回転単結晶をモデル化した実験を試み、融液の流動形態、特に熱振動現象を把握し、積極的にその熱振動を抑え、高品質のシリコン単結晶を製造する応用技術の開発が目的である。 平成8年度は以下のような研究成果を得ることができた。 1.CZ法のシリコン単結晶および坩堝をモデル化し、それぞれを高精度で独立に回転制御できる円筒容器を設計・製作した。 2.a)融液(モデル)内に蛍光染料を注入して流動形態を可視化し、回転系のCCDカメラにより撮影記録した。b)融液内に感温液晶を混入し、静止系および回転系のCCDカメラにより撮影記録し、温度分布を測定した。c)レーザ流速計で、融液内の流速分布を測定するシステムを構築した。あわせて、d)作動流体に混入した微小粒子の流動を画像処理して流速分布を測定するPIV法を導入することができた。 3.上記の方法を用い、Rayleigh数(Ra)、Prandtl数(Pr)、Reynolds数(Re)の混合パラメータRa/(PrRe^2)を変数とし、単結晶および坩堝モデルに対する2個の回転レイノルズ数をパラメータとする広範囲な領域で、流動形態・熱振動現象を可視化法により確認することができた。 4.連続の式、運動方程式およびエネルギ式を用いて、上記模擬実験の流動形態および熱振動現象を数値シミュレーションするコンピュータ・コードの開発がほぼ終った。
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