研究概要 |
メタノールは親水性、吸湿性が大きく、水とは任意の割合で混合する。そのためにメタノールを燃料として用いるときには、含水の影響をも考慮しなければならない。逆に適当に含水化することにより、水の蒸発による体積膨張などを積極的に利用して熱効率を上げることも可能と考えられる。また、メタノールはオクタン価が高いので耐ノック性が大きく、圧縮比を上げて熱効率の向上をねらえる。しかし、含水率を変化させると、全体としての燃料の発熱量や、蒸発潜熱が変わるために着火遅れや、燃焼速度に変化が生じ圧縮比を変化させると燃焼距離や圧縮圧力・温度も変化し安定燃焼範囲に影響を与える。そこで本研究では圧縮比が通常(7.1)のエンジン(ガソリン用)にメタノールを燃料として用い、含水率を変化させたときのエンジンの燃焼安定性に及ぼす影響を筒内圧力変化の測定により調べた。 本研究の供試機関は、空冷単気筒2サイクル火花点火機関で排気量175×10^<-6>m^3、圧縮比7.1である。動力吸収および回転数の制御には交流式電気動力計を用いた。供給燃料としてニートメタノールの他に含水率を5,10,20%に変化させた含水メタノールを用いた。 燃焼安定性の評価は、主として図示平均有効圧力(IMEP)と最高圧力(Pmax)の変動率について検討して行った。圧力変動は空燃比が希薄側になるほど増加し、また含水率が増えることによっても増加する。しかし、理論空燃比付近では含水率のIMPEとPmaxの変動率に与える影響は一定ではない。従って、含水メタノール燃料を用いたときの燃焼安定性を検討する場合、IMEPの変動率だけではなくPmaxの変動率をも検討する必要がある。
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