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1996 年度 実績報告書

生体組織の凍結過程における熱工学的ミクロ構造の究明

研究課題

研究課題/領域番号 08650235
研究機関筑波大学

研究代表者

石黒 博  筑波大学, 構造工学系, 助教授 (30176177)

キーワード生体伝熱 / 生体材料 / 凍結保存 / ミクロ構造 / 方向性凝固パラメーター / 氷結晶 / 機械的作用 / 生存性
研究概要

生体細胞の凍結保存における細胞の損傷機構や凍結保護物質の保護機構の解明の問題に関連して、マクロな生体材料である細胞懸濁液の凍結過程における細胞まわりの未凍結水溶液や氷の状態などの熱工学的なミクロ構造を解明することが重要である。本研究では、人間の赤血球懸濁液の方向性凝固過程の1)氷結晶の形態特性、2)氷結晶と細胞の相互作用の特性、および、赤血球の凍結・融解後の生存性に対して、ジメチルスルホキシド(細胞膜透過型)やデキストラン(細胞膜非透過型)などの凍結保護物質の種類、および、冷却速度だけでなく、温度勾配とその伝播速度の組み合わせの影響を明らかにした。
凍結保護物質を含まない生理食塩水のみの場合には、氷結晶は、主に、平坦な固液界面とセル状構造であり、ほとんどの赤血球は、成長する氷結晶に押し退けられる。温度勾配が小さく、冷却速度が大きい程、平坦界面からセル状界面への遷移、2次アームの発生が促進され、氷結晶の形態は高次化・微細化すると共に、氷結晶による赤血球の押し退けは軽減する。これに対して、いずれの凍結保護物質の添加によっても、等しい凝固条件で、氷結晶は2次アームや3次アームを発生し、高次化・微細化する。また、氷結晶による赤血球の移動はなくなり、氷結晶は赤血球を包み込むように変形しながら成長したり、分岐したりし、氷結晶近傍での氷結晶と赤血球の相互作用の特性は柔軟化する。さらに、温度勾配が小さく、冷却速度が大きい程、氷結晶の形態の高次化・微細化、および、氷結晶と赤血球の相互作用の特性の柔軟化は促進される。
赤血球の凍結・融解後の生存率は、等しい冷却速度でも、温度勾配とその伝播速度の組み合わせに依存することを明らかにした。これは、凝固過程の細胞まわりの氷結晶や赤血球の微視的挙動と関連し、氷結晶の赤血球に対する機械的作用が凍結・融解後の生存性に対する影響因子の1つであることを示す。
さらに、共焦点レーザー走査顕微鏡と蛍光試薬の併用は、凍結過程における氷結晶と赤血球の3次元的挙動の実時間計測に有益であることを明らかにした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 石黒博ほか2名: "細胞懸濁液の微視的凝固挙動(方向性凝固条件の影響)" 日本機械学会第74期通常総会講演会論文集. (発表予定).

  • [文献書誌] 石黒博ほか4名: "生体材料の細胞外凍結過程におけるミクロ構造" 日本伝熱学会第34回日本伝熱シンポジウム講演論文集. (発表予定).

  • [文献書誌] 石黒博ほか2名: "赤血球懸濁水溶液の微視凝固挙動に対する伝熱パラメーターの影響(仮題)" 日本機械学会平成9年度熱工学講演会論文集. (発表予定).

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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