研究概要 |
凝縮初期過程における凝縮相の形成は、学問的にも工業的にも重要な現象であり、これまでに多くの研究がなされてきた。その結果、凝縮初期過程の成長様式は、島状成長、層状成長、層状-島状成長の3種類に分類されることが実験的に明らかにされている。NaCl単結晶表面への金属原子の蒸着では、3次元的な島状の核が形成されることがわかっており、その理由としては固体と金属の表面張力に違いであると説明されているが、その詳細については必ずしも明らかにされていない。このような背景から、本研究では固体表面上への気体分子の凝縮初期過程における島状3次元核生成現象を、連続体膜の安定性解析の視点から説明し、さらに解析結果を検証するために、金属原子の真空蒸着実験を行い、島状3次元核の大きさが蒸着時間とともにどのように変化するか観察した。 1.安定性解析においては、薄膜生成における核生成過程において,薄膜の表面張力が基板物質の影響を受けるために膜厚によって変化すると考え、薄膜の表面に微小擾乱が加えられた場合の界面の安定性について線形安定性理論を用いて解析した.その結果,擾乱が成長する波長が凝縮核の粒径に対応すると考えることにより,凝縮速度を一定とした薄膜生成の場合,核生成初期には凝縮核の粒径は時間に比例して成長することを明らかにした. 2.さらにCuの真空蒸着実験を行い,蒸着初期において凝縮核の粒径が時間に比例して成長することを確認し,本解析の妥当性を確認した.
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