研究概要 |
粒子の分散挙動を研究するためには,個別非球形粒子のサイズ・形状をできれば速度とともに捉える必要があることを踏まえ,非球形粒子群中の個別粒子のサイズ・形状を光学的に計測する手法を追求するのが本研究の目的である.粒子による光散乱を予測するに際して,Lorentz-Mieの理論は真球形の粒子にしか適用できず,非球形粒子に適用できるように拡張したGeneralized Lorentz-Mie法,拡張境界条件法などが提案されているが,軸対象でない粒子にまでは適用できていない.このため,本研究課題においては,マックスウェルの電磁方程式を時間・空間に関して離散化し,粒子表面での接合条件を含めて解く方法で,非球形粒子にレーザービームを照射したときの周囲空間での散乱強度パターンを得るためのプログラムの開発を進めた. まず最初は,計算負荷の小さい2次元場において,よく知られた干渉問題の計算を電磁方程式の直接差分解法で行い,この計算法が光の干渉を正当に計算できることを確認した.つぎに,完全導体で囲まれた空間に置かれた非球形ではあるが,ごく簡単な形状の完全導体粒子による散乱を計算し,電波工学の分野で他の方法で求められている解との比較を行って,これに関しても,妥当な解を得られることを確かめた.さらに,無限空間に置かれた2次元円柱による,非一様強度分布をもつレーザービームの散乱を計算し,Generalized Lorentz-Mie法で得られている結果との比較検討を行なった.その結果,計算上の境界を十分遠くに置いた場合には,直接差分解法も十分良好な結果を与えるが,その場合は計算負荷が重くなり,境界を近づけた場合には,計算上の境界においてわずかながら反射が生じ,これが計算結果を乱すことが明らかになった.このため,計算上の境界における境界条件の与え方について改良を進め,反射をほぼ完璧に抑制する方法に目処がついた.
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