研究概要 |
先ず、実験装置;吸着ガス供給装置,テストセクション(吸着剤)、温度計測装置及びガス分析装置、を設計製作し、調整運転により吸着剤の温度特性、吸着特性に関する実験データを取得できる機能を有することを確認した。本実験では、窒素ガスをべ-スにした炭酸ガス12%濃度の標準ガスを用いている。供試吸着剤はゼオライト系の直径5mm前後の球状の粒子である。この粒子の中心と表面に温度計測のため直径0.2mmのシース熱電対を取り付けて、炭酸ガスの吸着速度と吸着発熱に基づく温度変化との関係を調べた。熱移動に関しては、粒子表面境膜熱移動係数と粒子内熱拡散係数が要因となる。一般に境膜抵抗は内部抵抗に比較して非常に小さいことが分かっている。物質移動に関しては、粒子表面境膜物質移動係数、内部物質拡散係数及び軸方向混合が要因となるが、この中では、内部物質拡散が支配的である。問題は、内部の熱拡散と物質拡散の関係であるが、熱移動抵抗が物質移動抵抗に比較して非常に大きいことを定量的に把握した。TSA法(温度スウィング法)あるいはPSA法(圧力スウィング法)いずれの場合も、大量の炭酸ガスの吸着・脱着工程を2分前後のサイクルで効率よく、経済的に行うためには、吸着剤の温度を最適にしかも短周期で制御することが必須である。このことから、熱伝導特性の改善を図らずに、吸着性能の向上のみを考慮したのでは、性能が十分発揮できないことが分かる。また、吸着剤の熱伝導率のデータを性能予測プログラムに導入することにより熱拡散の遅れが計算されて、吸着性能をより精度良く予測することが可能となった。研究結果は、随時国内外の学会等で発表していく予定である。
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