研究概要 |
鉛直面を流下する液膜の二次元および三次元表面波によるガス吸収促進の機構を明らかにする為、表面波の運動特性およびガス吸収特性を実験的に調べた。液膜入口部に周期的擾乱を与えることにより二次元波を形成した。二次元波の速度は、波数と共に減少し、極小値を取った後、再び増加した。これは水平な液面上の表面波と類似した現象であり、極小値より小さい波数の領域では重力の作用が波の運動に支配的であり(重力波)、大きい領域では表面張力の作用が支配的である(表面張力波)。 重力波の領域では、波の運動およびガス吸収特性とも、Nosoko,et al. Chem.Eng.Sci.,51(1996)725.およびYoshimura,et al. Chem.Eng.Sci.,51(1996)1231.のものと同様の結果を得た。表面張力波の領域では、波や緩やかに成長すると共に減速した。また、線形安定性理論から導かれる中立安定の波数より大きな波数では、波は減衰し、その後最大成長速度の波数に近い波数の波が出現した。表面張力波の出現は液膜入口近傍に限られており、液膜のガス吸収特性は、下流域に現れる二次元および三次元の重力波により支配される。 現在、三次元波の運動特性およびガス吸収特性についての実験が進行中である。
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